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ハモンドオルガンとレスリーの修理 9 

今回はハッチ工房の山本さんが来て、ハモンドオルガンの心臓部であるトーンジェネレーターのコンデンサーを交換しました。土田さんだったらできますよと言われていて確かにできそうでしたが、山本さんはやはりとても丁寧で綺麗な仕事なので、今回はお任せしました。ワックス紙のコンデンサー(大体1964年よりも前のモデルすべて)にはこのコンデンサーが使われており、経年劣化します。そして音があまりクリアーでなくなったりします。 

今回交換する前にとても良い感じの音でしたが、交換した後はよりクリアーになり、なおかつ以前の良い感じを保ったままになりました。よくあるケースとしてはとても明るくなり、前の方が良かったと後悔することもあります。それはなかったのでほっとしました。やはり、これはコンデンサーの材質によるもので、アメリカの評判が良いお店で交換キットを買って良かったと思いました。 

さて、僕は何をしていたかというと、そんな山本さんの作業を観察しながら、その横で足鍵盤をすべて分解してフェルトをすべて交換しました。思っていたよりかなり大変な作業でした。とにかくネジやフェルトの数、また打つ釘の数がとても多くて8時間以上かかってしまいました。手先もちょっと痛く鈍い感じがするのでその後はあまり楽器を演奏することできなかったです。 

山本さんと話しながら作業するというのも良い感じでした。なんだかチームワークみたいで、同じオルガンの違うところを修理していました。 

ということで、もう一か所別の場所のフェルト(足鍵盤の接点)さえ替えればほぼ中身は最新の状態になります。山本さんと僕が修理した合計の時間はおそらく100時間ぐらいかかっていますが、とても良い感じで仕上がりました。ちょっとした微調整はまだありますが、現段階としてはとてもすばらしい音です。そして、おそらくあと10年以上(もしかしたら20年以上)修理しなくてもよいでしょう。 それでも時々調子が悪い箇所が出てくるのですが・・・。

ビンテージハモンドを修理できるハモンドオルガン奏者を目指しつつ、 今後もし修理の箇所が出てきたら何とか自分で修理したいと思います。大掛かりな作業以外だと良いんですが・・・。

 

  

 

 

ハモンドオルガンとレスリーの修理 8 

今回はレスリースピーカー122のアンプとクロスオーバーのメンテナンスです。まずは、アンプのすべてのコンデンサーと抵抗を交換。そしてクロスオーバーのコンデンサーはTrek II crossover capacitorと交換。(この場合の方が楽です。普通のコンデンサーよりちょっと高いですが・・・)これでレスリー関係はすべて終了です。 

それから、オルガンとレスリー122につなぐ6ピンのオルガン側のソケットを交換。フォンジャックやヘッドフォンも使いたかったので、Trek II OBL-2というラインアウトボックスを装着。(これで外部の普通のアンプを鳴らしたり、ヘッドフォンも使用可能になりました。ビンテージとデジタルのオルガンの素の音が比べることもできます。)その際にトーンジェネレーターのスプリングが外れていた(ハッチ工房の山本さんもこれに気が付いていましたが、スプリングがきつくて付け直しできなかったようです。)ので、力込めて何とか付け直しました。あとトーンジェネレーターを固定しているボルトを耐震ゴムが付いた仕様のものがあるので、それに交換してさらに内部のモーターなどの音が静かになりました。 

とまあ今回もいろいろな箇所を直しました。これらすべて山本さんに次回お願いしようと思っていたのですが、結局自分で修理してしまいました。 

 

 

 

 
 

ハモンドオルガンとレスリーの修理 7 

今回はビブラートラインボックスのコンデンサーと抵抗をすべて交換しました。コンデンサーはワックス紙のもの(大体1964年製ハモンドよりも前のものはすべてこれが使われています)が使用されていて、経年劣化します。そんな訳で今回交換することにしました。今まで修理した部分よりはるかに簡単(でもはんだ付け作業の連続ですが、今までの修理で慣れてました)でしたが、やはり数時間はかかりました。でも一番短かったのではと思います。いろいろな方法がありますが、ワイヤーごとすべて取り外すことはせず、コンデンサーと抵抗が巻き付いているワイヤーはそのままにして切断して、その切断部分から新しいものをはんだ付けという作業になりました。 

音はコーラスやビブラートをかけた時のスムーズさが増したような感じですが、そんなに劇的には変わりませんでした。すでにほとんどの部品を交換しているのでかなり良い音なので満足ですが、どうせなら徹底的にということで作業しました。あとは心臓部のトーンジェネレーターのコンデンサーを交換することですが、この作業は難易度がかなり高いので、ハッチの山本さんに任せようと思います。できないことはないのですが、おそらく2日ぐらいかかりそうなので、山本さんでしたら1日でできるそうです。 

そのあとは足鍵盤のすべてのフェルト交換とレスリーのパワーアンプの一部抵抗とコンデンサー(すでに以前交換されていますが)を交換、クロスオーバーのコンデンサーの交換という作業になります。 

すっといろいろとメンテしてきましたが、ここまですると音がとても良いですね。今のデジタルのハモンドオルガン(いろいろなメーカーから出てますが)と比べて、はるかに音が良いです。心地が良い音で、弾き続けたくなる感じがします。やはり、現行のデジタルは太刀打ちできないなと思います。

 

 
 

ハモンドオルガンとレスリーの修理 6 

ついに分解していろいろなパーツを修理していたハモンドオルガンが一段落しました。ACラインパネルのワイヤー接続のはんだをきれいにして配線を付け直しました。

そして修理技師の山本さんが来られて、鍵盤すべてを調節して取り付けました。その時に鍵盤のフェルトであるアップストップフェルトとダウンストップフェルトも交換しました。

まだペダルのフェルト交換やトーンジェネレーターのコンデンサーやビブラートボックスのコンデンサーの交換などがありますが、とりあえず弾ける状態になりました。やはり自分でいろいろと修理して、その楽器がうまく動くようになると大変嬉しいです。音もすでに前より良くなりました。 

これからは少しずつ時間を見つけてゆっくりと山本さんに修理をお願いしたり、自分で修理していきたいと思います。

 

 

 

ハモンドオルガンとレスリーの修理 5 

ハモンドオルガンの修理に力を入れてる日々が続いています。今までの自分で修理したことを修理技師であるハッチ工房の山本さんにレポートしたところ、今までここまで自分でやった人はいないらしく、素晴らしいとお褒めの言葉をもらいました。プロの方に褒めてもらうのは大変嬉しいです。モチベーション上がります。 

そんなわけでビブラート・コーラスの心臓部であるビブラートスキャナーの修理が完成し、なくなっていたオイル差しの皿も中古で買って付けて、オイルが伝わる糸もうまく付け直しました。その後はマッチングトランスフォーマーのケースが粉を吹いていて悪さするので、その除去掃除。その他の場所も同様に行いました。 

そしてできるかどうか不安だったプリアンプのコンデンサーとレジスターの交換をしました。コンデンサーはワックス紙を使用しているので経年劣化し、問題を起こします。また、ブロックコンデンサーも経年劣化するのでそれらすべて交換しました。 

これもかなり難易度が高かったです。ワイヤーにははんだ付けされているのですが、そのワイヤーが接合部に巻き付けてあり、その上にはんだ付けされているので、切り離すのがとても大変でした。下手に長くやると今度はワイヤー包んでいる周りのものが溶けてくるので慎重にやっていてもなかなか簡単にはいきませんでした。 

このパーツは奥にあり、その周りにも他のワイヤーが複雑に絡んでいる場合だなと思ったものはワイヤーを切断しワイヤーとワイヤーを接合して部品交換しました。おかげではんだ付けも慣れて上達したので自信がもてました。それにしてもこの作業も慎重に行わなければならない作業で時間もかなりかかりました。 

今回の作業は修理マニュアルには一切載っていないので、交換セットを買ったお店(Tonewheel General Hospital)の資料を参考にして、あとはハモンド修理技師が集まるFacebookのグループで質問したら多くの人が親切にアドバイスをくれました。本当に助かりました。ただし、電子回路で専門的なことになると勉強不足なのでわからないことがあります。回路図もしかり、その他詳しいことになるとお手上げ(こういう時は高校の数学を覚えていればなと思うことが多々あります)なのでちょっとずつ勉強しようと思います。 

もう少しで山本さんが来るのでオルガンが一段落弾けるところまで修理完了しそうです。楽しみです。 

いま友人の一人がその方のB3に問題があるようで、ちょっと困っていますが、関東に山本さん、関西方面にもう一人の方がいるぐらいで容易にすぐに直せないそうです。日本においてビンテージのハモンドを修理できる若い技師はいないので今後はどうなるかと心配になります。パーツも日本では容易に手に入らないですし、今後現行のデジタルのものに代わってしまうのでしょう。しかし残念ながらその寿命は10年から15年でパーツが手に入らなくなったり、メーカーのサポートも終わります。僕のB3は58年製なので58歳なわけですが、デジタルはそんなに長持ちはしないでしょう。ちなみに今回外した部品は当然50年以上も前のものなので、見ただけでも古さが伝わってきます。 

 

 



 

ハモンドオルガンとレスリーの修理 4 

前回の問題発覚直後にもう一個スキャナーをEbayで購入したので、それが届くまでの間に他のところを修理しました。

2日間かけてハモンドオルガンのドローバーのアセンブリーをすべてばらして掃除、パーカッションスイッチ掃除、ビブラートスキャナーの掃除、コントロールボックスの掃除をしました。 

ドローバー(1セット9本の棒を引っ張って音色を設定するもの。上鍵盤2セット、下鍵盤2セット、足鍵盤1セットがあり、全部で38本ある。)のクリーニングが大変なもので、とにかく部品一つ一つ取り付けているネジが多いです。そして、接点の先には毛よりも細いワイヤー(レジスタンスワイヤー)がついていて、これを切ってしまうと大変なことになります。以前のオーナーがおそらくグリスを注したようですが、そのグリスが固まっていてそこら中脂だらけでした。(もともとグリスは付いているのですが、接点の調子が悪くなるとスプレーなどでグリスを注入する人がいます。)これを取るのにエタノールで拭いたり擦ったりしてこの作業にも時間がかかりました。アセンブリーを外す作業、ワイヤーを外す作業、解体、掃除、組み直し、取り付けととにかく時間がかかり10時間以上かかりました。レジスタンスワイヤーのために作業を早く進めることができず、全部の作業を慎重に進めなければならないために集中力と忍耐力が必要となる作業でした。ビンテージハモンドを持っている方にアドバイスですが、絶対にドローバーにグリスを注すのはやめた方が良いです。埃を接着してしまい、中に埃が固まったものができてしまい、またグリスも固まってしまうので、後に接点不良になります。その接点不良を簡易的に直すにはDeoxitという接点復活剤ですぐ乾燥するものを使う方がいいです。それ以外はやめた方が良いと思います。それかもし、解体してクリーニングしたらグリスを注さない方が良いです。その方が何年もトラブルが起きないでしょう。 

パーカッション(パーカッションの効果を加えるもの)、ビブラートスイッチ(ビブラートやコーラスを加えたりするもの)、コントロールボックスのネジの締め具合の確認、掃除、接点復活剤 Deoxit D5を散布する作業は1時間もかからず簡単でした。 

以上の作業を行うのに丸一日と6時間ぐらい費やすことになりました。たまたま時間がある日があったので良かったですが、このドローバーの作業は2度とやりたくないですね。修理人の山本さんにも頼んでもおそらく丸一日かかったと思います。それぐらい骨の折れる作業でした。 

これらの作業はハモンドオルガンの修理マニュアルを見て勉強しながら行っていきました。とても丁寧に書いてあるので、その順序通りに作業すれば大体失敗すること(でも慣れてないとちょっとした失敗はあります)がなく、工具と道具とチャレンジ精神があればある程度自分でできるようになります。将来的に日本でビンテージのハモンドオルガンを修理できる人がほとんどいなくなるので、今後のビンテージのハモンドオルガンの維持を考えると今回の修理の工程は大変役に立つとおもいます。

さてこれからもメンテがまだまだ続きます。今回の作業で鍵盤関係はすべてコンディションがとても良い状態になったので、後はアンプや回線の修理です。これは一部山本さんにお願いする予定ですが、自分でできるところまでやろうと思います。早くこのハモンドで練習したいです。練習よりも修理に時間を費やしているこの頃で、ちょっと疑問に思いますが、自分の楽器を詳しく知るということで良しとしましょう。

 

    

  

    

ハモンドオルガンとレスリーの修理 3 

山本さんが来られるまで待っても良いのですが、あと2週間あったので自分でできるところはやってみようと思い実行してみました。そうでもないとハモンドの修理は覚えませんよね。

今回はハモンドオルガンのビブラート装置の修理を試みました。これはちょっと難しいのですが、アメリカで売っている修理マニュアル本を2つ(The Hammond B3 Manual For Non TechniciansとHammond B-3 Organ & Leslie 122/147 Easy Improvement and Restoration Tips for NON Technicians)やDVD(Hammond Inside)を仕入れて勉強し、ハモンド修理人が集まるフォーラムでいろいろと質問したら、丁寧にいろいろと教えてもらいました。残念ながら日本語では修理マニュアルもなく、僕の知り合いではハッチ工房の山本さん以外細部まで詳しい人はいませんので、本当に今後ビンテージハモンドを維持していくのは大変になっていくと思います。でもアメリカの修理人は親切な人が多く、プレイヤーでも直す人がたくさんいるので、情報をシェアしてくれます。  

さてその装置をまず開けて、いろいろなパーツを取り出して、そのパーツは油だらけなのでアルコールにつけました。以前にこのスキャナー(このパーツのことをスキャナービブラートと言います)を開けたようで、その形跡が見られました。そしてオイルが伝わっていく糸が断線していて、これを新たにつけるのはとても困難でオリジナルのようにするには不可能です。というのはリベットで留められている部分の中に糸が通じていているため、リベットを外すことはできません。外して元に戻すことは大変困難な作業で行わないことが一般です。ということで、以前Ebayで購入した互換性のあるスキャナー(Hammond M3からのパーツ)を解体して、良いパーツをつけるということでした。ですが、残念ながらこのパーツにも問題が。詳しいことは書きません(というのはとても複雑な構造なため)が、まっすぐでなければいけないピンが曲がっているということです。このピンは元のものも修理の跡が見られ、これも良くありません。ということで、パーツをクリーンにしましたが、組み立てずに仕切り直しです。この問題発覚直後にもう一個スキャナーをEbayで購入したので、それを送ってくるまで待ちそうです。物は安いのですが、送料がとても高いです。 

そんなわけで、この複雑な構造のスキャナーはよくわかり自分でも直せるようにはなりましたが、なかなか思う通りにはいきません。まあしょうがないですが、ハモンド修理に少し自信が持てました。今後も山本さんが来るまで自分でできるところは自分で修理するつもりです。そうしたら将来的にもこのB3を自分でも直せるようになるので、良いきっかけかもしれません。

 

 

 
 

ハモンドオルガンとレスリーの修理 2 

山本さんのオルガン修理2回目です。

今回はバスバーのクリーニングと潤滑油を注しました。(バスバーはオルガンの発音の接点で各鍵盤の下に9本ある長い銅線です。これがあるから多列接点になります。非常に長く壊れやすいものなので扱いには要注意です。) 

キーコンブを交換しました。(各鍵盤を安定させるためのもので、金属の爪のような部分の先にフェルトが精密に小さく切られたものが付いていて、それにより鍵盤と鍵盤の間が保たれています。へたってくるとグリサンドなどしたときに鍵盤が他の鍵盤と干渉し、カチカチと音がします。新品はまず手に入らず(奇跡的に最後の在庫で手に入りましたが)、通常は業者に送り調整してもらいます。残念ながら日本にはその業者はありません。良い状態の中古も手に入れることができますが、少々フェルトが減っていることはあります。大変貴重な物で高価です。) 

山本さんの作業と同時に僕が行ったのは鍵盤をすべて取り外し、汚れ落としと布巾でクリーニングしました。鍵盤は鉄の棒のような部分にネジで2か所留めてあり、これが緩むこともあるので締めました。144本(61鍵盤+11のプリセットキーが2セット)をクリーニングするのはとても時間がかかり大変でした。鍵盤の下はとても埃だらけで、しかも小さいゴキブリの死骸まで出てきました。何が出てくるかわかりませんね。 

というのが今日の作業で山本さんと僕で朝10時過ぎから開始して夜の7時近くまでやっていました。あとは、鍵盤の調整発音位置調整、ビブラートスキャナーの交換・メンテナンス、プリアンプAO-28のコンデンサー交換が残っており、いずれは足鍵盤のフェルト交換・発音位置調整(これは僕が担当)、ビブラートボックスのコンデンサー交換、トーンジェネレーターのコンデンサー交換(これは賛否両論で替えない人もたくさんいます)が残っていますが、一段落着くまでにはあとまる一日かかります。 

とまあたくさん残っており、アメリカからの送られてくる部品到着が10日間前後になり、山本さんが次回来れるまでかなり時間が空いてしまいますので、それまでに自分で足鍵盤を終わらせる予定です。 

なかなか多くの手順が残っていますが、これらの作業が終わるととても良い状態になり、弾くのが楽しみです。58年前に作られたものですが、しっかり修理するとずっと使い続けられます。今の電子楽器は基盤が故障し、基盤が生産されていないと使えなくなるので、ずっと使い続けることはできません。ここがビンテージのハモンドオルガンと新しいハモンドオルガンとの大きな違いです。(音もまだ違いますが・・・)パーツなどは日本ではあまり手に入りませんが、幸いアメリカではまだ結構な数の業者が作っていたり、所持していたりするので、修理することができます。ただし、日本には修理できる人が大変少なく、高齢化しているので、この機会に自分なりに今後ある程度修理できるように勉強しようと思います。ですが、電子回路の抵抗や電荷などの公式や回路図を理解できることが望ましいので大変です。高校の数学をきっちりやっておけばよかったと後悔しています。ほとんど忘れてしまいましたので、せめて回路図ぐらいはよくわかるようになりたいものです。

 

 

 
 

ハモンドオルガンとレスリーの修理 1 

ハモンドリペアマンであるハッチサウンド工房の山本さんがオルガンを修理に来られました。最初はまず一通りチェックして問題個所を探していきました。過去に何回か修理された形跡があり、おそらくその修理した人(ローカルのアメリカ人修理人と推測)は仕事が雑なようで、ワイヤーのはんだ付けが良くなく、その他いろいろと問題がありました。それらを少しずつ修正しつつ、また修理しなければならないものを修理するといった作業でした。まだまだ修理する箇所があるので、おそらくあと2回は来てもらうことになるのですが、それまでにパーツをそろえなくてはなりません。残念ながら、ビンテージのハモンドオルガンのパーツはあまり日本では出回ってないので、アメリカの業者やEbayなどから購入するしか方法はありません。なので、少し時間がかかります。 

山本さんの作業を見て、いろいろと質問して教えてもらいました。また自分でも足鍵盤のクリーニングを行いました。とにかくこの足鍵盤は汚くて、傷はもちろん、靴のゴム跡がたくさん残っていて除去するのにとても大変でした。また凹みにも汚れが入り込んでいたり、本体やスピーカーと比べると一番汚れていた感じでした。本体やスピーカーと同様にHoward Restore Finishを使い、スチールウールで擦り、乾く前に布巾で拭き取るという作業を行いました。かなりの古いものなのでできるだけクリーニングしましたが大変でした。大分良くなったので満足ですが、外観を綺麗にするのも大変ですね。

山本さんは下鍵盤のバスバー(ハモンドオルガンの発音する接点で9本鍵盤の下に長いパラジウムの線があります。時代によって質や形状などが違います。)を取り出してクリーニングする作業を行いました。上鍵盤も行う予定でしたが、どうやら初期型は上鍵盤とトーンジェネレーター(ハモンドオルガンの音を作っている機器)とのワイヤーが短いため、それを全部はんだで取り外さなければならないということで、時間がなく下鍵盤だけで終了しました。

 

 

ハモンドオルガンとレスリーの外観の修理 

運送業者からハモンドオルガンとレスリーが運ばれてきました。全く修理に知識がなかったので、ハッチ工房の山本さんに修理の予約をしたのですが、来られるまでしばらく時間があったので外観を自分で修理することにしました。

アメリカのハモンドオルガンを修理する業者や技師はまだたくさんいますが、その人達の間で評判の良いHoward Restore-A-Finishを使い、磨き上げるということを聞きました。もちろん、欠けた部分や完全に外観を修復するには、中身のパーツすべてを取り外し、業者に頼んだりするのですが、そこまでするには膨大な時間とコストがかかってしまうので、自分でできるだけの範囲で修理しようと思いました。さすがに業者に頼むと新品のような状態にはなりますが、ビンテージのハモンドオルガンは新品では手に入るものでもないので、傷などが目立たなくなれば良いなと思いました。

さて、このHoward Restore-A-Finishとスチールウールを使い全体を擦り、乾く前に布巾で拭き取ります。ちなみに、アメリカから輸入もできますが、日本でも数店舗扱っているところがありますので、そちらからも購入できます。アメリカから輸入すると送料で高くついてしまうようなので、日本で購入しました。


まずは、修理前はこんな感じでした。


オルガンを数時間、またレスリーを数時間かけて磨いて拭き取りをするとこうなります。















大分良くなったと思います。傷もあまり目立たなくなり、かなり満足する結果が得られました。これ以上は業者に任せるしかありませんでしたが、これだけでも一人で行うと5時間ぐらいはかかります。(丁寧にやったので、それ以上かかりました。)

ということで、もし外観が傷だらけでしたら、かなりこれで修復できると思います。最終的に全部メンテナンスを終えて、もう一度行いましたが、その時はもっと良くなりました。ちなみに、色はたくさんあるので、なかなか近い色を購入するのに苦労するかと思いますが、大体オーク、ダークオーク、マホガニーなどが近いと思います。僕の場合は最初はオーク色で行いましたが、仕上げにはマホガニーで行いました。ちなみに、最終的にはこんな感じになりました。

ハモンドオルガン・レスリーを譲り受ける 

2016年の9月ぐらいに1958年製のハモンドB3とレスリー122(これは60年代後半製)を譲り受けました。以前は、1961年製のハモンドA-102(中身はB3と同じで、しかもリバーブとスピーカー付き)とレスリー45があったのですが、数年前に家が火事になってしまって手放すことになってしまいました。45は幸いにも火事の消火の際の水をほとんどかぶらなかったため、手放しませんでした。

突然のこのB3とレスリーに出会った訳ですが、実はこのオルガンは改造された跡がかなりあり、また周りのキャビネットの状態もかなり傷などがありました。ビブラートスキャナーとプリアンプの調子が悪く、コーラスとビブラート(C/V)をかけた時には音が歪んでいました。そして、ランモーターにつながっている油が伝わる糸とその油を注す部分が完全に欠損している状態でした。もちろん、鍵盤の汚れ、折れて修復された鍵盤、その他、いろいろな問題がありました。

なんだかこのB3を初めて見た時は救ってほしいと語りかけているような気がしました。10年近く使用されていないとのことだったのでした。

修理にかかる費用や交換や欠損しているパーツが多かったので、いろいろと考えましたが、これも何かの縁だと思い、譲り受けることにしました。そして、これからこのB3とレスリーをいろいろと修理することになり、完全にメンテナンスすることになりました。その経緯をこれから書いていきます。