ビンテージハモンドオルガンのあまり知られていない重要なこと

オルガン奏者の友人である山口さんのお宅にお邪魔して、大変お世話になっているハモンドオルガンやレスリー、その他などの修理技師である巨匠、ハッチ工房の山本さんの修理を見学に伺いました。 

なぜ見学に行ったのかというと、とても大変で興味深い工程が見られたからです。今から書くことはとても大事なことで、実は多くの日本のハモンドオルガン奏者や関係者は知りません。業者も知らない人が多いです。そして知っている業者はこの情報を隠すこともあるので、私がこのことを書くことをおそらく好まないでしょう。しかし、とても大事なことなので書きます。 

ハモンドのB3, C3, A100, RT3などいわゆる人気のモデルは製造年の期間が同じではありませんが、基本的に1955年ぐらいから75年あたりまでと言われています。中身の材質、職人の質、その他いろいろな変更が行われましたが、64年が大きな境目だと私は思います。 

それは、鍵盤裏の内部の一番奥にとても多くの髪の毛ぐらい細い抵抗線があるのですが、これを覆っているものが64年あたりに材質が変わりました。フォームに変わった(2枚目の写真でよく見えます)のですが、これが実は経年劣化で酸化して、酷いとこの抵抗線を切ってしまいます。この抵抗線が断線すると音が出なくなります。そしてそれを修復するにはとても大変です。というのも、まずは鍵盤の部分を外し、それから内部を開けていき、どの程度の状態かを見て、そして対策をします。この状況を見るには全部開けるしかなく、そこまでの作業工程がとても大変で時間がかかります。幸いにもこの山口さんの70年代製のオルガンのフォームはボロボロで粘々としているわけでなく、また酸化して抵抗線を断線させていない状況だったので、きれいに除去することとなりました。それでもこの修理はだいたい3・4日ぐらいかかるようです。鍵盤のアセンブリーをすべてオルガン本体から出して机の上で作業すればもう少し時間はかかりませんが、かなりのスペースが必要です。ちなみに酸化して断線してしまった場合はつなぎ合わせるのが大変で、またそれが何本も断線してしまうととても大変です。 

ですが、これはオルガン一台一台状況が異なります。つまり、ある意味では不発弾のような状況と言えるかもしれません。もしかしたら断線して音が鳴らなくなるかもしれない、ダストのようにボロボロで害を及ぼさないかもしれないなど。64年以降のハモンドB3, C3, A100, その他同じ構造のオルガンはこのリスクがあります。 

ということで、64年以降のハモンドB3などを所有している方、もしくは購入を考えている方はこの点を知っておいた方が良いと思います。過去に除去していない場合は必ずこのリスクがつきまといます。 除去してしまえば安心できます。

ちなみに64年以前のものはフェルトで覆っているので、このフォームで抵抗線が断線するリスクはないです。確かに64年以前のものはこのフォームの問題はありませんが、コンデンサーがワックスコンデンサーであるため、トーンジェネレーター、プリアンプ、ビブラートライン等のコンデンサーは劣化をしており、本来の音ではなかったりします。私のB3はこれらのコンデンサーと抵抗を交換しましたが、この作業も大変です。64年以降のものはワックスコンデンサーではないので、経年劣化はあまりなく、交換する必要もあまりないです。64年以前・以後のどちらも良い点や悪い点がありますが、しっかりとメンテナンスすればとても良い状態になります。私の意見ですが、本来業者や個人が高額な値段で売却する場合はどちらのオルガンにしてもしっかりと整備すべきだと思います。アメリカのきちんとした業者は整備して売却するので、高額であるのも納得できますが、残念ながらそうではない場合を日本ではよく見ます。

 

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