ハモンドオルガンとレスリーの修理 4

前回の問題発覚直後にもう一個スキャナーをEbayで購入したので、それが届くまでの間に他のところを修理しました。

2日間かけてハモンドオルガンのドローバーのアセンブリーをすべてばらして掃除、パーカッションスイッチ掃除、ビブラートスキャナーの掃除、コントロールボックスの掃除をしました。 

ドローバー(1セット9本の棒を引っ張って音色を設定するもの。上鍵盤2セット、下鍵盤2セット、足鍵盤1セットがあり、全部で38本ある。)のクリーニングが大変なもので、とにかく部品一つ一つ取り付けているネジが多いです。そして、接点の先には毛よりも細いワイヤー(レジスタンスワイヤー)がついていて、これを切ってしまうと大変なことになります。以前のオーナーがおそらくグリスを注したようですが、そのグリスが固まっていてそこら中脂だらけでした。(もともとグリスは付いているのですが、接点の調子が悪くなるとスプレーなどでグリスを注入する人がいます。)これを取るのにエタノールで拭いたり擦ったりしてこの作業にも時間がかかりました。アセンブリーを外す作業、ワイヤーを外す作業、解体、掃除、組み直し、取り付けととにかく時間がかかり10時間以上かかりました。レジスタンスワイヤーのために作業を早く進めることができず、全部の作業を慎重に進めなければならないために集中力と忍耐力が必要となる作業でした。ビンテージハモンドを持っている方にアドバイスですが、絶対にドローバーにグリスを注すのはやめた方が良いです。埃を接着してしまい、中に埃が固まったものができてしまい、またグリスも固まってしまうので、後に接点不良になります。その接点不良を簡易的に直すにはDeoxitという接点復活剤ですぐ乾燥するものを使う方がいいです。それ以外はやめた方が良いと思います。それかもし、解体してクリーニングしたらグリスを注さない方が良いです。その方が何年もトラブルが起きないでしょう。 

パーカッション(パーカッションの効果を加えるもの)、ビブラートスイッチ(ビブラートやコーラスを加えたりするもの)、コントロールボックスのネジの締め具合の確認、掃除、接点復活剤 Deoxit D5を散布する作業は1時間もかからず簡単でした。 

以上の作業を行うのに丸一日と6時間ぐらい費やすことになりました。たまたま時間がある日があったので良かったですが、このドローバーの作業は2度とやりたくないですね。修理人の山本さんにも頼んでもおそらく丸一日かかったと思います。それぐらい骨の折れる作業でした。 

これらの作業はハモンドオルガンの修理マニュアルを見て勉強しながら行っていきました。とても丁寧に書いてあるので、その順序通りに作業すれば大体失敗すること(でも慣れてないとちょっとした失敗はあります)がなく、工具と道具とチャレンジ精神があればある程度自分でできるようになります。将来的に日本でビンテージのハモンドオルガンを修理できる人がほとんどいなくなるので、今後のビンテージのハモンドオルガンの維持を考えると今回の修理の工程は大変役に立つとおもいます。

さてこれからもメンテがまだまだ続きます。今回の作業で鍵盤関係はすべてコンディションがとても良い状態になったので、後はアンプや回線の修理です。これは一部山本さんにお願いする予定ですが、自分でできるところまでやろうと思います。早くこのハモンドで練習したいです。練習よりも修理に時間を費やしているこの頃で、ちょっと疑問に思いますが、自分の楽器を詳しく知るということで良しとしましょう。