Hammond A100のレストア 3

Hammond A100のレストアの続きです。

足鍵盤の接点部分のすべてのクリーニングと錆取り(除去できるだけ) 
足鍵盤のフェルト交換 

ペダルマットの交換(あえて茶色から黒のものに替えてアクセント付け) 

下鍵盤すべての鍵盤のクリーニング 
下鍵盤のシャーシの錆取り 

上鍵盤すべての鍵盤のクリーニング 

両鍵盤のフェルト交換 

ドローバーのすべての部品にクリーニング 

コントロールパネルの接点クリーニング 

マッチングトランスのケース、コントロールパネルボックスケースなどクリーニングと塗装 

リバーブつまみとビブラートコーラスのつまみのクリーニングと塗装 

書いたのを見ると特に大したことないのですが、全部で50時間近くかかった気がします。まとめてなかなか時間が取れないので、できる時に一気にやってしまいました。 

ということで見た目はかなりピカピカの状態で、鍵盤の感触、ドローバーの動き、プリセットキーの引っかかりなどすべてにおいて本当に良い状態になりました。もともとの状態があまりにも埃だらけで汚かったので、それに比べると新品とまではいきませんがそれに近い状態になったのではないでしょうか。 

友人や知人にビンテージのハモンドオルガンを持っている人がいますが、まずこれらの修理はやらないでしょう。というのもやらなくても問題なく動くことがほとんどだからです。ビンテージのハモンドは耐久性も高く、アナログ楽器なので騙し騙し使えます。でもこのA100は63年製なのですでに55年は立っていて全くメンテナンスされてないといっていいほどの状態だったので、今後何十年もメンテナンスしないでとても良い状態で弾き続けるにはここまでするのが必要だと思いました。 

それと一つ一つの箇所を修理するのに時間がかかります。修理する側になってよくわかったのですが、修理技師に依頼してすぐに直るというわけにはいかないんです。もちろん直る箇所もあるのですが、本格的にメンテナンスすると数時間では終わらないんです。でもそれを知っている人は多くないので、すぐ直ることに期待をするのですが、結局一か所直して、その後また他の箇所を直す、最終的には何回も修理することになる場合がよくあります。 

この63年製のA100はかなりリーズナブルで手に入れたので最初からメンテナンスすることを予想していましたが、中を開けてみると錆びていたり、その他意外なことがあったりして計画通りには修理が終わらなかったりします。 

よくいろいろと修理できますねと言われたりするのですが、それはおそらく好きだからだと思います。ビンテージのハモンドオルガンという楽器が好きであり、自分の演奏する楽器について詳しく勉強しようと思った末にできるようになったと思います。もちろん修理に関してもこの先勉強継続ですが、直せるようになると修理は大変ですが、修理が完了してとても良い音で楽器を弾けるようになった時の満足感は言葉にできないです。そしていっそう愛着が湧きます。今後これ以上ビンテージのハモンドとレスリーを所有することはないと思いますが、今では誰かが直したものより、オリジナルもので整備されてないものを購入して自分ですべてレストアする方がいいと思っています。その方がどこの部品を直したのか、どのように整備したかなどすべてわかるので何か問題が起きたときにも問題個所が発見しやすいです。そして丁寧ではない技師が修理するとワイヤーの被覆がはんだで溶かされていたり、はんだ付けがきれいではなかったり、中途半端に部品が取り付けられてたり、余計な傷がついたりと様々なことがあるので、自分で修理するか信頼できる技師に頼んだ方が良いと思います。 

外観はアメリカで高額に販売されるもののように傷がほとんどないというわけではないのである程度歴史を感じますが、ビンテージのハモンドはそんなに状態の良くないものでも一つ一つ丁寧に直していけば音や弾き心地は最高のものになると思います。外観もある程度は修理できます。(それ以上は再生職人に依頼して直せば完全に傷なしの外観状態になるでしょう。) 

いろいろと書いているわけですが、あとプリアンプAO28とパワーアンプAO39のクリーニングと整備が残っているので、ここまで終わればかなり素晴らしい音が出てくれるはずと期待してます。 

ここまでの状態になるまで長い工程でした。