ハモンドオルガンとレスリーの修理 2

山本さんのオルガン修理2回目です。

今回はバスバーのクリーニングと潤滑油を注しました。(バスバーはオルガンの発音の接点で各鍵盤の下に9本ある長い銅線です。これがあるから多列接点になります。非常に長く壊れやすいものなので扱いには要注意です。) 

キーコンブを交換しました。(各鍵盤を安定させるためのもので、金属の爪のような部分の先にフェルトが精密に小さく切られたものが付いていて、それにより鍵盤と鍵盤の間が保たれています。へたってくるとグリサンドなどしたときに鍵盤が他の鍵盤と干渉し、カチカチと音がします。新品はまず手に入らず(奇跡的に最後の在庫で手に入りましたが)、通常は業者に送り調整してもらいます。残念ながら日本にはその業者はありません。良い状態の中古も手に入れることができますが、少々フェルトが減っていることはあります。大変貴重な物で高価です。) 

山本さんの作業と同時に僕が行ったのは鍵盤をすべて取り外し、汚れ落としと布巾でクリーニングしました。鍵盤は鉄の棒のような部分にネジで2か所留めてあり、これが緩むこともあるので締めました。144本(61鍵盤+11のプリセットキーが2セット)をクリーニングするのはとても時間がかかり大変でした。鍵盤の下はとても埃だらけで、しかも小さいゴキブリの死骸まで出てきました。何が出てくるかわかりませんね。 

というのが今日の作業で山本さんと僕で朝10時過ぎから開始して夜の7時近くまでやっていました。あとは、鍵盤の調整発音位置調整、ビブラートスキャナーの交換・メンテナンス、プリアンプAO-28のコンデンサー交換が残っており、いずれは足鍵盤のフェルト交換・発音位置調整(これは僕が担当)、ビブラートボックスのコンデンサー交換、トーンジェネレーターのコンデンサー交換(これは賛否両論で替えない人もたくさんいます)が残っていますが、一段落着くまでにはあとまる一日かかります。 

とまあたくさん残っており、アメリカからの送られてくる部品到着が10日間前後になり、山本さんが次回来れるまでかなり時間が空いてしまいますので、それまでに自分で足鍵盤を終わらせる予定です。 

なかなか多くの手順が残っていますが、これらの作業が終わるととても良い状態になり、弾くのが楽しみです。58年前に作られたものですが、しっかり修理するとずっと使い続けられます。今の電子楽器は基盤が故障し、基盤が生産されていないと使えなくなるので、ずっと使い続けることはできません。ここがビンテージのハモンドオルガンと新しいハモンドオルガンとの大きな違いです。(音もまだ違いますが・・・)パーツなどは日本ではあまり手に入りませんが、幸いアメリカではまだ結構な数の業者が作っていたり、所持していたりするので、修理することができます。ただし、日本には修理できる人が大変少なく、高齢化しているので、この機会に自分なりに今後ある程度修理できるように勉強しようと思います。ですが、電子回路の抵抗や電荷などの公式や回路図を理解できることが望ましいので大変です。高校の数学をきっちりやっておけばよかったと後悔しています。ほとんど忘れてしまいましたので、せめて回路図ぐらいはよくわかるようになりたいものです。