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修理したレスリー122のアンプの納品 

修理依頼で完了したレスリースピーカーのアンプを取付けに行ってきました。自宅でテストしたときは完璧でしたが、もともとそのアンプについていた真空管を取付けて持参したオルガンを接続してテストしました。 

修理前より音圧も上がり本来の音量がでるようになりました。回転のスピード切り替えも問題なくスムーズになり修理したアンプはとてもいい感じです。しかしここで少し問題が。まずレスリーに回転を速くするとモーター付近から擦れる音が。この問題探るために蓋を外して中を見るとスローモーターのゴムに亀裂があり、かなり良くない状態ということがわかりました。これは交換しないといけませんが交換に必要なゴムリングは自宅にストックしてあるので次回の修理依頼でできれば交換したいと思います。 

音に関してはかすかな歪が。本来の状態の良いハモンドとレスリーはボリュームが大きくなければ歪まないので明らかにこの歪はおかしいと思いました。ここで考えられるのはホーンのツイーターの振動板がずれているかゴミが挟まっていてクリーニングが必要か。ボイスコイルの状態が悪いのか。もしくは真空管の状態か。 

いろいろと疑い場所があるわけです。でも大体は検討がつくのですが、これらを1つ1つ消去法でチェックしていきながら直すわけで、残念ながら今日は時間切れ。今の状態でも音的にはそこそこいいのですが、レストアした状態と比べるとまだまだな感じです。ということでビンテージハモンドとレスリースピーカーをしっかりとメンテした状態にするというのは時間とコストがかなりかかります。ここでどこで妥協するか、どこまで修理するかが個人個人の判断になります。時間と予算がある人、どうしても最高の音にしたい人、DIYで直せる人は徹底的に直すといいと思います。 

依頼を受けたレスリー122アンプのレストア 

ようやくまとまった時間がとれたので依頼を受けたレスリースピーカー122のアンプの修理を終えました。すべてのコンデンサーと抵抗、ダイオード、スピードを切り替えるリレー、接続するために6ピンソケット、ボリュームポットを交換しました。ということでトランス以外のすべてのパーツを交換となりました。予想以上に修理の時間(10時間)かかってしまいました。 

交換だけならそこまでかからないのですが、まずこのアンプは以前に誰かが配線を滅茶苦茶に接続して一部のパーツ交換した形跡があったため、すべての配線をチェックしながら本来の配線に戻しながらパーツをすべて交換しました。配線のはんだ付けも信じられないぐらい雑でした。よく今まで動いていたのが不思議なくらいです。直しているときはかなりの怒りがこみ上げてきました。修理するなら中途半端ではなく、良いパーツを使い、しっかりとした修理をすべきだと思います。ということで誰かがいい加減な修理をしたものを修正してレストアするのは余計な時間と仕事が増えた結果となりました。 

完成してテストをしたら本来の良い音で動作もすべて正常に確認できたのできたので、無事に修理を終えました。 

修理技師も数人素晴らしい方を知っておりますが、あまり知識がない技師(ハモンドやレスリーの修理経験がない)には頼まないほうがいいと思います。今回はおそらくあまり知識がない、経験がない修理技師がパーツを交換してその際に配線も変えてしまったのだろうと思います。私は自分で修理できたらいい、日本では自分の年代やそれより下の年代でハモンドとレスリーを直せる人を知らない、そして今後この楽器を存続させるためには誰かが直せないと存続が危ないと思ったので修理し始めましたが、その時でもサービスマニュアルやレストアマニュアルの本を何回も読んで作業を把握してから実際に修理しました。今でも慣れてない箇所や直したことのない箇所は事前にかなりのリサーチします。もちろんそれでもいろいろと小さな失敗は時々起こります。幸いハモンド修理技師が集まるサイトがあったり、またお世話になっている先輩の技師にも時々アドバイスもらったりしているので助かっています。もうビンテージのハモンドオルガンやレスリースピーカーは生産されていないので大切にしたいですね。 

ということで来月このアンプを届けるとともに演奏するので楽しみです。きっと良い音で鳴ってくれるでしょう。お店の方やお客さんもレスリースピーカーで鳴る音の良さが伝わってくれればさらに嬉しいですね。

 

 

Hammond B3の最後のレストア 

ハモンドB3のレストア最後の工程です。ここまでやるほ修理技師はほとんどいないと思います。 

よく上鍵盤のレールの塗装が剥げて錆びていることがあるのですが、以前は自分でタッチアップの塗装でかなり目立たなくしていました。でもやるなら徹底的にしようと思ったので、自動車の板金塗装の知り合いにお願いしてサビの除去と再塗装してもらいました。新品のような状態になり、その後は自分でHAMMONDのロゴを取り付けました。これで自宅のB3、A100、レスリー122、45のレストア終了です。まあさらにやるとしたら外観のニスを全てヤスリで落とし、傷や凹みをパテで埋めたり、表面の木を貼り替えたりしてニスを塗るということですが、そのためには中身をすべて取り出さなければならなくてとんでもない作業になるので、その工程はやりません。傷もそのオルガンやレスリースピーカーの歴史ということで。 

オルガンとレスリーのレストアにかかる時間は100時間以上かかります。もちろん状態にもよるのですが、そこまでかからない個体もありますが、だいたいこれ以上手をかけるところがないというところまでするとそれだけかかります。 

見た目そこそこ良し、音最高、鍵盤タッチの感触最高となりました。

 

Hammond A100のレストア 8 

いよいよA100のレストアの最後です。ハモンドオルガンの心臓部であるトーンジェネレーターという部分にたくさんのコンデンサーがついています。だいたい1964年製以前のものはワックスコンデンサーが付いていて経年劣化しています。これにより音がこもったハリがない感じで本来の音ではない状態になります。これを解決するにはこの部分のコンデンサーを全て交換することになるのですが、交換するコンデンサーにより音も変わってくるのである程度選ぶ必要があります。 

この作業は特に今回レストアしているA100では一人では大変で、重い鍵盤部分を動かすことになるので、尊敬している技師である山本さんにお願いしました。 

40kg以上ある鍵盤部分を慎重に二人で動かして作業できるスペースを作り慎重に交換していきます。作業自体は単純ですが、交換する数がたくさんあるので時間がかかります。そして今回は山本さんにいろいろと伝授してもらいました。 

まず山本さんの作業はとても丁寧で見た目もきれいに修理します。私もその点を重視して整備するのでとても共感できるところです。残念ながらで作業が雑で部品に傷をつけたり、正常に動作すれば良いという感じの人もいますが、整備する側から見て良いとは思いません。 

それでこのコンデンサーはどのくらい数値が狂ってきているか調べてみました。本来の数値の3倍ぐらいなっており、これでは全く本来の音になる訳がないんです。しかしこの劣化したパーツの音が本来の音であるから交換すべきではないという技師やプレーヤーもいますが、それはハモンドオルガンの本来の音、楽器の音をよくわからないと思います。最終的には好みの問題なので劣化した音が好きな人もいるわけですが、工場出荷時の音ではないと思います。 

これでほとんどの作業が終了し、あとは内蔵スピーカーのコーン紙とボイスコイルを交換するのみとなりました。この作業はしなくても良いのですがへたっているので今後のため、本来の音にするために行います。 特に必ずというわけではないのでいつ行うかわかりません。

写真ではどれだけ数値が変わっているかコンデンサーに測定値を書いていきました。 これでどれだけ数値が変わっているのかがわかります。経年劣化しています。

とてもマニアックですが、実はワックスコンデンサーの前期型と赤いMylarコンデンサーの後期型がありますが、約2年ぐらいの中間期にはGeneral InstrumentのGIコンデンサーというオレンジのワックスコンデンサーがあります。私のA100は一部にそれが使われていたのですが、もし全部に使われていたら今回のコンデンサー交換(これをリキャップという)はしなかったでしょう。このコンデンサーは劣化が少なく、ワックスコンデンサーの良い特性を持っているのでこのコンデンサーが全てに使われている場合は交換しなくても良いと思います。 

このトーンジェネレータのコンデンサーの交換(リキャップ)はもっと深い話、たとえば一個一個のトーンホイールの調整が必要かどうかという議論がありますが、これは人により意見がかなり分かれるのでここで止めておきます。 

これでB3同様にA100もとてもいい音になりました。うちにレッスンや遊びに来た方はぜひぜひ試弾してみてください。

 

Leslie 45と122のレストア(スピーカー) 

これでレスリースピーカーのレストアの全ての工程は終了です。レスリースピーカーのウーファーは15インチのものでいろいろなタイプのものが使われていますが一番評判の良くスタンダードなものはJensen P15LL (フィールドコイルのF15LLは除く)というスピーカーなのですが、残念ながらで現在は生産もされておらず、またこのスピーカーより良いという代替品はあまり聞きません。 

しかし50年ぐらいは経っているためにスピーカーのコーン、紙でできているのですが相当劣化しています。当然ですね。そしてこのコーン紙とヴォイスコイルを交換してくれる場所は私の知る限りでは日本では知りません。 

アメリカの知り合いの技師から交換キットを作っているところを紹介してもらったので取り寄せてスピーカーのレストアしました。このスピーカーを予備を含めて3つあるので先日勉強しながらスピーカーのコーン紙とヴォイスコイルの交換の仕方を習得したので、今回は2つほどレストアしました。 

音は低音から高音、800Hz以下の音の出方が変わりました。締まった音になりパンチがある音になりました。これが本来のレスリースピーカーの音なんでしょう。 

これ以上メンテナンスできる箇所はないのでレスリースピーカーのレストアは終了です。 

おそらく私の知っている技師の方もここまでやらないと思いますので、Jensen P15LLやその他レスリーやハモンドオルガンに使われているJensenのビンテージスピーカーのリコーンも承ります。ただしRolaやHeppnerのスピーカーのリコーンパーツは手に入らないので対応できませんので、その場合はスピーカー専門の職人の方に依頼することをお薦めします。

 

 

Hammond A100のレストア 7 

ハモンドオルガンのA100の内蔵スピーカーをオフにしてヘッドホンでも練習できるようにTrek IIのOBL-2 SLを装着しました。本体自体に穴を空けたりするのは好きではありませんが、どうしても綺麗な配線で便利な場所に設置するには必要でした。そしてリバーブアンプのトランスがビリビリとノイズを発生させていてどうしても直らなかったので新品に交換しました。あと真空管も殆どがへたっていたので交換しました。 

あとはトーンジェネレーターのコンデンサー交換と足鍵盤のフェルトとプッシャー(金属のベロのような接点でこれよく曲がっていたりコンディションが悪いものが多いです)を交換する予定です。バスバー(多列接点)は今のところ問題なくきちんと音が出るのでバスバーをシフト(位置を変える)して様子を見ることにしました。

 

Hammond A100のレストア 6 

ハモンドオルガンにはコーラスビブラート(C/V)が付いているのですが、その回路でコンデンサーと抵抗で成り立っている部分があります。ビブラートラインと呼ばれるものですが、そのコンデンサーと抵抗を全て交換しました。 

さてこのオリジナルのものはワックスコンデンサーで大体64年以前のハモンドオルガンに使われています。そして必ずと言っていいほど経年劣化しているんです。しかし一部の演奏者や修理技師はオリジナルの部品に変にこだわるあまりに経年劣化している部品を交換しません。そして理由としてはオリジナルのサウンドでなくなってしまうということなのですが、経年劣化した部品では当然オリジナルの良いサウンド、つまり生産されたばかりのサウンドは出ません 。 

と言う訳でこのビブラートラインのワックスコンデンサーと抵抗を全て質の良いこの回路にあったものと交換しました。交換後はとても良い感じでコーラスとビブラートがかかります。 

後期型の赤いコンデンサーのものは交換しなくても良いのですが、ワックスコンデンサーのものは交換しないと本来のスペックには戻らないです。 

ちょうど交換した時に古いこのワックスコンデンサーがどれだけ劣化しているか測定してみました。全部の部品がへたっていて多くは通常の数値の2倍になっていました。これでは本来の音はでません。そしてこれを本来の音とは言えません。 

何回もこの作業はやっているのですが今回は特に綺麗に仕事ができました。 

そしてキャビネットの歪みの原因がわかり、本来あるはずのビスがない事に気が付きました。このビスは特殊なのでお世話になっているパーツショップでも絶対に手に入らないので、ホームセンターに行って互換性のあるものを見つけて取り付けました。こうやっていろいろと直していると過去にどのような事が起きたのかかなり推測できます。このハモンドも家に届いた時はそんなに良い状態ではなかったのですが、部品交換や修理を丁寧に時間をかけてきたおかげでどんどん良くなってきてます。ビンテージハモンドは良くない状態でも修理すればとても良いものに仕上げる事もできます。これは絶対に現行のデジタルオルガンでは部金交換以外はできないです。 

ということであと1/4ぐらい作業が残っている状態です。でもまだ20時間はかかりそうです。やるなら徹底的にレストアします。

 

 

 

Hammond A100のレストア 5 

レストア中のハモンドオルガンのA100がレストアしたレスリースピーカーの45と接続できるようになりました。接続するには26-1キットを使います。リバーブアンプAO44とパワーアンプAO39のへたっているコンデンサーと真空管を全て交換、プリアンプAO28のコンデンサーと抵抗と真空管の多くを交換しました。残るはビブラートボックスとトーンジェネレーターのコンデンサー交換が残っていますがこれは追々作業しようと思います。鍵盤部分は全ての清掃と調節を終えたのでとてもタッチが良くて綺麗です。 

他にも足鍵盤のフェルト交換やその他の作業がまだ残っていますが少しずつ行っていこうと思います。

配線やその他、とにかくできるだけきれいにレストアするように心がけています。

 

 

Hammond A100のレストア 4 

Hammond A100のレストアの続きです。

足鍵盤の接点部分のすべてのクリーニングと錆取り(除去できるだけ) 
足鍵盤のフェルト交換 

ペダルマットの交換(あえて茶色から黒のものに替えてアクセント付け) 

下鍵盤すべての鍵盤のクリーニング 
下鍵盤のシャーシの錆取り 

上鍵盤すべての鍵盤のクリーニング 

両鍵盤のフェルト交換 

ドローバーのすべての部品にクリーニング 

コントロールパネルの接点クリーニング 

マッチングトランスのケース、コントロールパネルボックスケースなどクリーニングと塗装 

リバーブつまみとビブラートコーラスのつまみのクリーニングと塗装 

書いたのを見ると特に大したことないのですが、全部で50時間近くかかった気がします。まとめてなかなか時間が取れないので、できる時に一気にやってしまいました。 

ということで見た目はかなりピカピカの状態で、鍵盤の感触、ドローバーの動き、プリセットキーの引っかかりなどすべてにおいて本当に良い状態になりました。もともとの状態があまりにも埃だらけで汚かったので、それに比べると新品とまではいきませんがそれに近い状態になったのではないでしょうか。 

友人や知人にビンテージのハモンドオルガンを持っている人がいますが、まずこれらの修理はやらないでしょう。というのもやらなくても問題なく動くことがほとんどだからです。ビンテージのハモンドは耐久性も高く、アナログ楽器なので騙し騙し使えます。でもこのA100は63年製なのですでに55年は立っていて全くメンテナンスされてないといっていいほどの状態だったので、今後何十年もメンテナンスしないでとても良い状態で弾き続けるにはここまでするのが必要だと思いました。 

それと一つ一つの箇所を修理するのに時間がかかります。修理する側になってよくわかったのですが、修理技師に依頼してすぐに直るというわけにはいかないんです。もちろん直る箇所もあるのですが、本格的にメンテナンスすると数時間では終わらないんです。でもそれを知っている人は多くないので、すぐ直ることに期待をするのですが、結局一か所直して、その後また他の箇所を直す、最終的には何回も修理することになる場合がよくあります。 

この63年製のA100はかなりリーズナブルで手に入れたので最初からメンテナンスすることを予想していましたが、中を開けてみると錆びていたり、その他意外なことがあったりして計画通りには修理が終わらなかったりします。 

よくいろいろと修理できますねと言われたりするのですが、それはおそらく好きだからだと思います。ビンテージのハモンドオルガンという楽器が好きであり、自分の演奏する楽器について詳しく勉強しようと思った末にできるようになったと思います。もちろん修理に関してもこの先勉強継続ですが、直せるようになると修理は大変ですが、修理が完了してとても良い音で楽器を弾けるようになった時の満足感は言葉にできないです。そしていっそう愛着が湧きます。今後これ以上ビンテージのハモンドとレスリーを所有することはないと思いますが、今では誰かが直したものより、オリジナルもので整備されてないものを購入して自分ですべてレストアする方がいいと思っています。その方がどこの部品を直したのか、どのように整備したかなどすべてわかるので何か問題が起きたときにも問題個所が発見しやすいです。そして丁寧ではない技師が修理するとワイヤーの被覆がはんだで溶かされていたり、はんだ付けがきれいではなかったり、中途半端に部品が取り付けられてたり、余計な傷がついたりと様々なことがあるので、自分で修理するか信頼できる技師に頼んだ方が良いと思います。 

外観はアメリカで高額に販売されるもののように傷がほとんどないというわけではないのである程度歴史を感じますが、ビンテージのハモンドはそんなに状態の良くないものでも一つ一つ丁寧に直していけば音や弾き心地は最高のものになると思います。外観もある程度は修理できます。(それ以上は再生職人に依頼して直せば完全に傷なしの外観状態になるでしょう。) 

いろいろと書いているわけですが、あとプリアンプAO28とパワーアンプAO39のクリーニングと整備が残っているので、ここまで終わればかなり素晴らしい音が出てくれるはずと期待してます。 

ここまでの状態になるまで長い工程でした。