ブルースは奥が深い

ブルース・・・。本当に奥が深く演奏するのは簡単ではないと思います。よくジャズミュージシャンやロックミュージシャンでブルースを演奏するのが簡単だと思っている人がいますが、それは形式的なブルースであって、ブルースフィーリングに溢れたいわゆる3つのコード(一番シンプルな形)のブルースではないと感じたりします。 

アメリカでは多くの音大でジャズ科がありますが、その多くの学生はジャズのルーツであるブルースを軽視し、演奏することが簡単だと思っている学生が自分の経験上多いと思います。それは12小節という形式的に考えると簡単かもしれませんが、真正のブルースを演奏するということと全く違うと思います。ジャズにはジャズの言語があるようにブルースにはブルースの言語や歌いまわしがあります。(ジャズにブルースの言語を含むことができるのは、ジャズの言語は幅が広くブルースがルーツでもあるため、ジャズの演奏中にブルースの言語が使えると思います。) 

僕はたまたまジャズを本格的にやる前にブルースやブギウギピアノ、ニューオリンズ系ピアノに没頭していたので、それが縁でシカゴに移住してブルースバンドで演奏し始めて、全米各地をツアーで回ったりしましたが、それと並行して大学でジャズを始めた時にコアなブルースを重んじない大学のジャズ教育(もしく一般のジャズ教育)にとても違和感を感じました。 

でもそれもよくわかります。形式的にブルースをとらえると簡単だと思ってしまう、何故ならジャズのスタンダードやその他は形式やコード進行、リズムの捉え方、アドリブの方法など複雑だからです。しかし、はたして本当にそうなんでしょうか。僕は、ジャズは複雑な難しさ、ブルースはシンプルな難しさがあると思います。奥が深いです。もっと具体的・理論的に言うと、コードのカラーの違いだったり、ブルースではブルーススケールやペンタトニックスケールで歌うことだと思うのです。(あとはあのブルースフィーリングを感じるには、アメリカの黒人街のクラブ、いわゆるチトリンサーキットで演奏したり、ソウルフードを食べたり、黒人の友達と演奏やいろいろな体験したりするのも大切かもしれません・・・。) 

そんな訳でジャズやその他のスタイルを演奏してもブルースフィーリングにこだわりたいなと僕は思っています。もちろん曲の雰囲気、共演するミュージシャンなどの状況にもよって使い分けたいと思うのでなんでもかんでもというわけにはいきませんので使い分けは重要だと思いますが・・・。 

ジャズ系のミュージシャンがよく演奏するGee Baby Ain't I Good To Youを昨日ブルースバンドで演奏したのですが、バンドのカラー、演奏の感じを考えるとジャズの言語よりもブルースの言語だなと思い、そういうアプローチをしました。最近になってようやく少しブルースが分かってきたのかなと思います。精進あるのみですね。ジャズやその他の音楽もそうですが、ブルースもとても奥が深いです。 

PS. 見た目と演奏のギャップがあると最近よく言われます・・・。(笑)